荒地を沃野に変えるもの 2
シンプロットはその時まで実りの少ない土地を乾式農法で耕さなければならなかったのです。
それでも、彼らの敵であるはずの野菜 種、ヤマヨモギが大事な砂地をアイダホの風と雪から守ってくれました。
来た当時には麦芽色だった砂はやがて灌概によってミルク・チョコレート色の肥沃な土となり、それから70年後の今もJ・R・シンプロットがしわだらけの指を突込んでは感触を楽しんでいるほどです。
ヤマヨモギと岩石を取除くと、スネーク峡谷の乾いた土壌は有名な細長い黄褐色のバーバンク.ポテトの豊かな産地に一変しました。
やがてシンプロット一家は自分たちの食糧や牛、羊、豚の飼料としてジャガイモを収穫するようになりました。
6歳になる頃には、ジャックも畑でよく働き、酪農の仕事でも忙しい朝の雑用を手伝うようになっていました。
写真を見ると、彼は布製の帽子をかぶり、ぶかぶかのつなぎの服を着て、幾サイズも大きい作業靴をはいた、幸せそうな、そばかすだらけの少年に写っています。
その姿はノーマン・ロックウェルの描くハックルベリー・フィンそっくりです。
父親はしつけの厳しい人のようでしたが、この少年にはひどく折濫されたり、こき使われたりしたような様子はありません。
しかしジャックは人生はつらい義務から成立っているのだということをすでに知っていました。