自国通貨への自信 2
「輸出に伴う危険を少しでもなくそうとすれば、自分の国の通貨を信頼するのがいちばんです」
・・・と社長は沈着冷静に取材班に話してくれました。
氏は、自国通貨に絶大の信頼をおいています。
このことは、とりも直さず、国自体の通貨政策(通貨の安定すなわち物価の安定)が信頼されていることの何よりもの証拠なのです。
・・・輸出に伴う危険性は、氏がいう政治的なものだけでなく、当然、経済的側面にもあります。
日本の輸出企業は、1985年9月以来円高ドル安(というよりむしろ全通貨に対するドル安という表現の方がふさわしいが)が生み出す為替差損というリスクを西ドイツのそれよりも大幅に負ってきたのです。
それは日本の輸出決済が、西ドイツよりも5倍以上の比率で、ドルによってされてきたからです。
日本の企業が、西ドイツなみにドルによる輸出決済を9・5パーセント(この決済額比率は、西ドイツのアメリカへの輸出額比率10・3パーセントとほぼ同じ)程度で行っているなら、そのリスクも6分の1ぐらいになっていたでしょう。
あるいは円建てによる決済の割合を高めていたならば、その危険性はより分散されていたでしょう。
・・・極端ないい方をすれば、自国通貨・マルクを絶対的に信頼する西ドイツ。
そして、自国通貨・円よりも、他国通貨・ドルに相対的に依存する日本、といえるのではないでしょうか。